2012/01/31

ある象使いのはなし。

象使いが象を送りました。

子供の誕生日に。

象使いはそんなに頭が良い方ではないのですが
誕生日に間に合うように送りました。

当日になりました。
象使いが子供の家に電話してみると、いつもと変わらない子供の声が聞こえました。
象が届いてないんだなと、象使いは思いました。

象使いは考えました。
子供の家の近くに住んでる、友達の象使いに相談してみようと。
なぜならその象使いは子供から遠く離れたところにいるのです。

その年の誕生日、子供はひとりぼっちだったのです。

でも子供にとって、その年の誕生日はその日だけです。
象使いはそういうところにはこだわるのです。
そこで象使いはまた考えました。

象使いにとって象は命の次に大事なものです。
そのことを象使いは知っていました。
その上、象使いは人に何かを頼むのが苦手です。

長い時間考えた象使いは、勇気を持って4人の友人に電話しました。

一人は、象は貸せないけど、他の誰かに借りて来てくれると。
一人は、象は貸せるのだけど、時間がないと。
一人は、象を貸したいのだけど、象がいないと。
一人は、象を貸してくれる、、、と!!

そして象使いは象を子供にプレゼントする事が出来ました。
子供からはすぐに電話がかかってきました。

いつの日かこっそりと、その象を換えることになるのですが、
誕生日の子供の気持ちは変わらないことを象使いは知っていました。

象使いは思います。
本当に大変な時に4人の友達に電話できた事を。
そして4人共、象使いが恥ずかしい気持ちにならないよう 、優しく対応してくれた事を。
4人という数が多いか少ないかはわからないけれども、 象使いは幸せな気持ちになりました。


そして子供のいる街に初雪が降りました。

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