2014/03/25

LucKy // 2014-15 Autumn&Winter



「あ、それ? クモの巣、ドリームキャッチャーだよ。」

彼女はそう言いながら僕に背を向け、濃いネイビーのワンピースの
ファスナーを上まで上げるようせがんだ。
僕はその小さなゴールドの七角形がクモの巣のモチーフだと知り、
その上で奇麗に輝いてる蜂の事を少し気の毒に思い、そっと床に置き、背中のファスナーを上げた。

“It’s a spider’s web.”

With this, she begged me to zip up her dark navy blue dress.
 I recognized this small gold heptagon was a motif of a web, and zipped up hers feeling sorry for a beautiful bee in it.


僕はジャケットの胸ポケットからコインを取り出しいつもの様に空にトスした。
コインはきれいに回転しながら僕の手のひらに落ちた。
「裏か……。」
僕はコインをポケットに戻すと、下がりはじめた気温に目を細め、マフラーをきつく巻き直した。

I took a coin out from my chest pocket, and tossed it. It fell into my hand spinning in circles.
“Tails…”
I put it back into my pocket, and tied up my scarf tightly, as it was getting cold.


彼女は今日も走っていた。
そんなはずではなかったと自分に言い聞かせながら……。

コンサートの朝にふさわしい完璧なスタートだった。
素晴らしき朝の目覚めと幸福な朝食、コーヒは雑味もなく、冬の空のようにクリアーな味わいだったし、かかさず読む星占いも見事に一位だった。

She was running today, telling herself that wasn’t she expected.

It was a perfect morning for her concert. Waking up was especially easy, breakfast was excellent, the taste of coffee was clear like winter sky, and the magazine she read told her that her horoscope today was lucky.


鍵盤の上ではアイススケートの選手みたいに指が動き、目を閉じていても弾けそうなくらいの出来だった。
気がつくと指は止まっていて、耳には歓声が聞こえてきた。
彼女はニコリと微笑み、立ち上がってお辞儀をした。

She played the piano at the concert, which sounded like someone who was ice skating, like she could do it with her eyes closed. The next moment, the audience got up and applauded her. She smiled, stood up and bowed.


楽屋に戻ると沢山の花束が届いていたけれど、
彼女の目に飛び込んできたのは、見覚えのある特徴的な文字で
宛名が書かれている気球柄の包装紙だった。

LucKy

そう書かれた本の中には、
彼女との待ち合わせに遅れた不運な彼の話が書かれていた。

Though a lot of bouquets arrived when she got back to the backstage, the first thing that came to her attention was a parcel with balloon-print wrapping paper, with handwriting which was familiar to her.
There was a novel named 
“LucKy”
 in it, which was written about an unlucky man who was late for his appointment with his girlfriend.


何をしても彼女の元に辿り着けない、そんな話しだった。
けれど彼女はその中から必ず表れるであろう「LucKy」を信じて我慢強く、彼の足取りを追い続けた。
ようやく彼が彼女の元に辿り着きそうになったとき、
一枚の小さな四葉のクローバーと、待ち合わせ場所が書かれた栞が落ちてきた。

ハッとして時計を見た後、彼女は走り始めた。

He can never get to her, that was its story. However, she kept reading patiently, believing he would get “LucKy” at some time.
When he was about to get to her at last, she found a note with a rendezvous.

She was startled and looked at her watch, and started running.



小さな雨は止む事もなく降り続いていた。
彼女が今朝忠告してくれた星占いについて聞いてなかった事を少しだけ後悔して、
予約していたレストランに詫びの電話をした。
そして時間を確認する事を諦め、イヤフォンで耳を塞いだ。

不意に流れた『Get Lucky』は今の僕には励ましにもならなかった。

It didn’t stop raining all day. I regretted a little that I didn’t check my horoscope this morning, and called the restaurant which we reserved in apology for the delay. I gave up worrying about time, and started listening to music.

My favorite song “Get Lucky” didn’t even cheer me up at all,


目を開けると、息を切らした彼女が僕の目の前に立っていた。
肩を上下に大きく揺らしながら真っ直ぐに僕を見る不安そうな目は、とても今日の主役の表情ではなかった。
僕はそれを見て吹き出し、


「誕生日おめでとう。」
そう言って彼女にコンサート会場に贈り損ねた花束の方を渡した。

When I noticed, she was standing in front of me out of breath. She looked at me anxiously shaking her shoulders, which was not like today’s heroine. I burst into laughter at her face, and said
 “Happy birthday.”
Then, gave her a bouquet which I forgot to send to the concert hall.


彼女はそれを聞いて安心したのか、花束を受け取り、ここに来るまでの長い道のりについて青いカナリアみたいに際限なく話し続けた。
僕は適当に相づちを打ちながら、感じの良さそうなカフェを見つけて入った。
満席だった店内を眺め、諦めて出ようとすると丁度一席空き、僕らはそこに座わる事が出来た。


She was relieved to hear it, took the bouquet and started talking to him about what happened before she met him that day. We went into a restaurant with a warm atmosphere. It was full, but a seat became available just when we were going to leave, and we got a seat.


シャンパンを頼んで、メニューを眺めているうちに体の芯まで覆っていた寒気がほぐれていくのがわかった。
ぼんやりとメニューを眺めていると結構センスのいい料理が揃っている事に気がついた。

僕はもう一度コインを高く上げた。

彼女はいつものようにどっちが出たのかを目を輝かせながら聞いてきた。
僕はそれには答えない変わりに微笑み、コインをポケットに閉まった。

We ordered a bottle of champagne, and I felt my body temperature rise. I was gazing at the menu absently, I realized they had lots of interesting cuisine.
I tossed a coin again.
She asked me which side with her eyes shining, as usual. I smiled at her instead of answering her, and put it back into my pocket.






2014/03/20

3/21.22.23.24

こんにちは。

今日は生憎(これであいにくって読むのいつも不思議です、)の雨ですね。
僕の心みたいです(冗談です、)。

明日は晴れるといいですが、まぁ晴れなくとも、明後日からは晴れて欲しいものです。。

と、い、う、の、も、

3/22,23の二日間、渋谷パルコの方に立ちます。
2014SSの物語や洋服についてはもちろん、今回コラボした北村直登くんとの出会いなど、
興味のある方は是非遊びに来てください。
(今回アクビとコラボした氷のネックレスもあります!(初公開!))




そ、し、て、

同時期に代官山では、熊本のwallflowerの店長が来店してのオーダー会となっています。
3/20,21,22,23の四日間となっているので、そちらも是非!
セミオーダーはもちろん、フルオーダーも出来ますので、是非お立ち寄り下さいませ。
しかも期間中オーダーしたお客様にはお得な特典もあります!(詳しい事は代官山店に問い合わせください。)

どちらもお待ちしています。




2014/03/12

SHIBUYA PARCO LIMITED STORE OPEN .

こんばんは。


となりの部屋ではまだまだアイロン代のバキュームの音が響いてます。
春ですね。


なぜだか分からないのですが、前回の渋谷パルコでのPOP UP STOREの時も春だった気がしてなりません、、、(実際は9月です。)
きっとあれですね、新しい出発の時は常に春なイメージなのでしょうね。


と、いうことで、


渋谷パルコパート1の1階の前と同じ場所で限定ショップを開催します!

パチパチパチ(これも懐かしい、)。

今回は3/14から3/25と短いのですが、
(悲しくなんてありません、)

なぜなら
その後すぐの3/27から今度は4階のエスカレーター上がって目の前のコーヒー屋さんの手前で半年間くらいの限定ショップをスタートします!

驚いたに一票!(これも懐かしい、)


ということで、1階のスペースも10日間だけですが、それからの長い道のりに備えて、什器も新しくつくったりしてます。
前回の約一ヶ月半も驚きの長さだったのですが、まさか半年もやることになるとは。。
これはほんとにお店をつくったから出来る事だなと思ったりします。

ところで、限定ショップでは、2014SSの商品で埋め尽くされる訳ですが、
2014SSでかき氷のシロップの様な冷たくて甘いシリーズを描いてくれたNAOTO KITAMURA(直登くん)の絵を飾ったり、生地を使ったワンピースやシャツ、そして限定商品として、動物を切り抜いてつくったブローチなど、
春夏らしい、明るい場所にしていきたいと思っています。

4月12日には直登君を呼びつけてワークショップを開催したりします。

もちろん、僕もまた色々とお知らせをしていこうと思うのですが、
是非、渋谷パルコのお店をのぞいてもらって、スタッフに詳細を聞いてみて下さい。
そうすると、ワークショップの時にひとりでも寂しくないですね。


まぁ僕はその間に2014-15秋冬の展示会をスタートさせます。

ちなみに、今回のテーマは「LucKy」です。

お楽しみに。


あっ、
最後に、

代官山店も気がついたら4ヶ月が経ちました。
来て頂いた方達には、まず感謝の気持ちでいっぱいです。
ありがとう。
それとsnsやこういうところで気にかけてくれてる皆さんもまた、ありがたい存在です。
ありがとう。

4ヶ月前の出来たばかりの時に取材を受けたものがようやくWEB ACROSSにて掲載されています。
始めたときに思い描いていたものが、少しずつかたちになっていってるなと思ったり、もうちょっと早く進めてるはずだな、と思ったり。。。

是非、こちらもご覧下さい。
http://www.web-across.com/todays/srnrj200000289j4.html?ra=1