2011/07/06

煙草。


雲を絞ったように降り続ける雨。
僕はぼんやりと、吸わない煙草を吸う振り
をしてみる。
隣に座っている犬は、遠くの何かを探しているといった風に僕の吐き出した風の意味を探る。
僕は彼女が唯一置いていった青空みたいに青いワンピースを眺める。


彼女はたしか

『このワンピース、雨みたいな色ね。』

と言った。

僕はたしか

『そうだね、青空みたいな色だね、』

と答えた。



その頃の彼女がみる青空には、いつも厚い雲が広がっていたのかもしれない。

今の僕のこころみたいに。



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