二日前の朝食に、僕らから奇しくも選ばれなかったpain aux raisins。
オレンジジュースをいれ、温めなおしたコーヒーをカップにそそぐ。
残された犬と向かい合う肌寒い平日の朝。
アイロンをかけていないガウンを着て、僕の思いとは全然ちがう方向を向いている髪の毛。
向かいの椅子に座っていた犬は、僕がぽろぽろと落とすパン屑を期待して、足下から僕を眺めている。
急に騒ぎだした携帯には、旅行に出かけた彼女からの[ちゃんと起きてる?]の文字が浮かび上がる。
僕は少しだけ幸せな気持ちになる。
台所の隅に転がっている、ゆでられる予定だった生卵に同情しながら、僕はまたベットに戻る。
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