男話しかける。『ねぇ、今日は何曜日、、いや、何月だっけ?』
女は答える。
『7月27日、ついでに言うと水曜日。』
男『そっか、やっぱり。もうそろそろかなと思ってた。』
女『何が?、、、ねぇ、それより朝ご飯が食べたい。』
男『あっ、ごめんね、ちょっと待ってて。』
男はパタパタとスリッパの音をたてながら小さいながらも愛着のある台所に向かう。
冷蔵庫を開けて中身を確認して、頭の中で献立をたてる。
その間にオレンジジュースを彼女の前に持っていく。
女『ありがと。』
台所に戻った男は、夜の間犬の様に眠っていた野菜たちを取り出し、レタス、アスパラガス、トマトの順に洗い、アスパラガスの為にだけ鍋にいれた水を沸かす。
女『おいしい、このオレンジジュース。』
『そう?よかった。』男はレタスを千切りながら答える。
『そういえば、さっき言っていた、そろそろ、って何?。』オレンジジュースを注ぎながら話しかける女。
『?』トマトを切り終えた男は、彼女の質問をもう一度頭の中で反復して、答えを探す。
『あぁ、さっきのね、そろそろJUN OKAMOTOの2011-12AWのデリバリー第一弾が行われるんだよ。プリント物を中心に!』
『へぇ、どこで?、、、ねぇ、コーヒーが飲みたい。』
男は既にガラスの容器の下に落ちてしまっている優しい黒い色をした液体を女の前に運び、真っ白なマグカップの中に出来立てのコーヒーを注ぐ。
そう言って男は台所に戻り、朝食の準備を再開する。
茹で上がったアスパラガスは氷水を潜り、フレッシュな緑色を取り戻し、レタスとトマトの中に入れられ、次の出番を待つ。
『へぇ、宮崎にもあるのね。ママに伝えておくわ。』
『メルシィ、マドマァゼル!』そう言って、宮崎の小さなお店にフランス人の大女が入っていくところを想像して少し吹き出す男。
充分に熱されたフライパンにオリーブオイルを垂らし、卵を割り入れる。
『取り扱い店舗はまだあるけど、残念ながら一回目の商品が入っていないんだ、、だから他のお店で商品が見れるのは8月後半かな。』
そこまで言い終わり、フライパンの蓋を取ると、だいぶ色白になった目玉焼きが二つ、出来上がっている。
岩塩と黒こしょうにオリーブオイル、バルサミコ酢に上品に和えられたサラダと、焼き上がったばかりのトーストを一緒に食卓に並べ、男はやっと女の前に座る。
『ボナペティ。』
男は彼女を見つめ、そうつぶやく。
『ありがとう。』
ニコリと微笑み、女は目玉焼きにナイフを入れた。
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