ぼんやりとした東京タワーとレインボーブリッジを抜け、
いつものように耳を塞ぎ、長かった2ヶ月間について思い出す。
ひとつの党の代表が変わり、ひとつの風邪に一喜一憂し、ひとりのロックスターが亡くなったなぁと、ぼんやり。
baby,何もかも。
それにしても、早く着き過ぎたな。。

嬉しい、けど、寂しい、、、
そんな時に忌野清志郎の『サントワマミー』が流れました。
sans toi m'amie...
君がいないと、、。
★
とりあえずクロミツと名付けていた生後一ヶ月くらいのその猫は、5月2日にアトリエの前の公園で『なーなー』鳴いてるところを見つけ、そのまま段ボールで家をつくってやり、ささやかながら猫缶で乾杯したのが出会いでした。
猫の気持ちがまったく分からない僕は、彼女(三毛猫なので多分メス)が『なーなー』言うたびに、訳も分からず猫缶を開けたり、ミルクを足したり、膝にのっけてみたり、、でも降りるし。。
気がつくと、どこにいるか分からなくなり、1時間くらい探し続け、彼女が『なぁ』って言ってくれてやっと見つけたり、、。
5月7日になると、『なー』と見つめるので膝にのっけてやると、そこで寝るような、、、猫系の女の子ってもてるんだろうなぁと思ってたところでした。
ミクシーの里親コミュにコメントを出していた僕にメッセージが届いたのが7日の朝。
返事をすると、すぐにまた返事があり、その日の5時に夫婦でやってきました。
『かわいー』と、20歳くらいの女の子が猫を抱き、旦那さんに見せて僕に振り返ります。
そして僕に、『このまま連れてかえってもいいですか?』
★
『二人の恋は 終わったのね 許してさえ くれない あなた
さようならと 顔も見ないで 去っていった 男の心
楽しい 夢のようなあのころを 思い出せば
サントワマミー 悲しくて 目の前が暗くなる サントワマミー』
★
僕はきちんとさよならも言えずに、
抱かれるのが嫌いで『なーなー』言っているクロミツをただ見送るだけでした。
もう一回ちゃんと抱いておけばよかった。。
あまりぱっとしない天気の中、渋滞につられて進んでいると、高千穂峡に。
街の至る所に『神話と伝説のまち』と掲げてあるのに、すこし興ざめしながら進んでいると、岩壁に迎えられました。
やはり、有名な自然美のあるところがそうであるように、ここにもたくさんの人!
だけどそんな人が気にならないくらいの自然が広がっていて、僕は一気にテンションがあがります。
キョロキョロ、ソワソワ、、
不思議な深いミドリ色をしている水、
それとは対照的な、爽やかなミドリ色の葉をつけた木たち、
ぷっくりと水気を含んだ苔たち、
湿気を含んだ自然のにおいと感じながら歩いてると、ふと視線を感じました。
あぁ、木霊だ、、と、
もののけ姫に出てくる、穴の3つだけの顔が(回転はしませんが)そこらじゅうに現れました。
すみません、、変なはなしで。。
そんな空想を抱きつつ、
まだ一年生の鮮やかなミドリ色のカエデの空を見ながら、缶コーヒを飲み、
僕はまた 渋滞に戻っていきました。
エキサイティングな展示会の日々も終わり、
気の抜けたビールのような思考回路でパソコンの前に座っています。
『かたかたかた』
キーボードを叩いていると、蝶とクマがやってきました。
『かたかたかたかた』
続いて、やたらにうるさいヒツジがやって 『めー』 。
楽しそうに走り回る犬、人のよさそうなトナカイ、
忙しく木の実を探すリス、優雅にみんなを眺めている鷹もいます。
『かたかたかたかた』
僕はその光景にあまり意識も向けずに同じテンポでキーボードをたたきます。
ふと、真っ黒なフクロウに気がついたので、僕は矢印で話しけてみます。
『ほーほー』
その瞬間、黒い世界に季節がやってきました。
木には緑が生い茂り、クマは春のクマみたいな顔になり、
キラキラ青い蝶、
ヒツジはやっぱりうるさくて、犬は相変わらず走り回り、トナカイはなんか大きいままで。
リスに触れてみると「press」と書いてある板を持ち上げ、
鷹は相変わらず遠くを眺めています。
『ダブルダブルダブルドット、ジュンオカモトドットコム。』
僕は、気の抜けてないビールを飲みながら、そうつぶやきます。
僕の3年間が詰まったホームページが出来ました。