もしもし
...
もしもし
......
やぁ、君か。
今日はどこからかけてるんだろう?
と言っても、何も答えてはくれないだろうけど、、、
.......
ところで、君はどこにかけてるか知ってるのかな?
........
知らないよね、きっと。
テレビ電話でもスパイ電話でもないんだから。
オーケー。
今日はまだ眠くないから、少し僕の居場所について説明してもいいかな?
.......
うん、じゃぁ始めるから、、切らないでね。
えーと、まず白い扉。
これは大正時代の銀行の扉を使ってるんだ、白く塗ってしまったけど、なかなか存在感のある扉でしょ?
扉を開けると、ヘリンボーンに貼った床板が敷き詰めてあって、、、って、これを張るのが一番大変だったんだ、、、というのはウソだけど、僕が張った訳じゃないからね、、あくまで推測すると、、だけど。
コホン。
それから目の前に見える洋服のかかったラック。
あまり言いたくはないんだけど、実はこれ、古い電車の荷物棚でつくったんだ。
見えないでしょ?
あっ、見れないか、ごめん。。
そしてラック一面にかかってる生成りの洋
服たち。
ここに入ってくる人や、外から覗く人がキョトンとするんだけど、実はこれ、サンプルなんだ、
でね、一番奥にある大きな扉、、(実はこの場所をつくる時に一番最初に考えたんだ、壁一面の大きな棚を。)を開けると、ほら、いろんな生地が入っている。
僕のオリジナル生地や、パリで見つけたヴィンテージの生地だったり、イタリア、スイスで買い付けた生地、それにこの場所の為に仕入れた生地なんかが入ってるんだけど、
この中から好きな生地を、、ここが重要なんだけど、、お客さん本人に選んでもらうんだ、、
....
ん?難しい?
うん、きっと難しいだろうね。
でもね、元々服って、着物の時代から生地を自分で選んでいたんだよ、
それが洋服の文化の定着で、生地を選ぶという感覚は退化しているかもしれない、
けど、感覚はきっとまだどこかで眠ってるんだ、スヤスヤって、だから僕は眠りすぎた感覚にそっと目覚まし時計をかけてあげたいんだ。
うん、と言っても、難しいと思う。
でも自分のために選ぶんだ、きっと楽しいはずだよ。
そう、楽しいんだ。
楽しませたいんだ、だから僕は、、これは来た人にだけの秘密なんだけど、、プロジェクターで生地の柄を投影させて、、、
もしもし、、、聞いてる?
.....
ありがとう。
話しすぎたね?
もうやめておくよ、きっと君にもここがどうい
う所か分かったと思うし、続きは君がここに来て直接体験すればいいと思うし、僕も直接話しをしたいから。
もし本当に君がこの話を聞いて来てくれたとしても、当然だけど、僕には君が誰だか分からない、、あっ、そうだ、もしこの場所に来る時には胸に を付けてきてくれれば、僕は気づかないふりをして、君とまた長い話をするよ。
きっと来てくれるよね?
僕は来週の月曜日、つまり6/13までココにいるから。
今日はもう寝るよ。
明日も同じ時間かな?
最近ちょっと寝不足だから、明日は休んでもらえると嬉しいな。
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きみも夜は寝た方がいいよ。
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おやすみ。
wallflower by jun okamoto
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